米シリコンバレーにてビザ・グリーンカード関連の仕事を始めて10年。最近の米イミグレ事情やお役に立ちそうな様々なシナリオをご紹介していけたらと思います。
まずは会社スポンサーの永住権の取り方について簡単にお話します。
会社スポンサーの永住権(グリーンカード)
アメリカで働くにはH-1BやL-1などのビザ(非移民ビザ)が必要となりますが、H-1Bは6年間、L-1は5年又は7年の期限付きです。会社としてグリーンカードをスポンサーしてあげれば、貴重な人材である優秀な外国人労働者をを期限なしで雇うことができます。会社がグリーンカードをスポンサーするのには、まずアメリカの労働省(Department of Labor、通称DOL) の審査を通過し、その後移民局(U.S. Citizenship & Immigration Services、通称USCIS)を通していくつか申請書を提出しますが、大きく下記の3つのステップに分かれます。*2023年8月現在の情報です。
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❶ PERM / Labor Certification Application (労働証明書の申請)
アメリカの労働省(DOL)には、アメリカ国民の雇用を守る義務があります。外国人労働者が増えてアメリカ人の仕事がなくなってしまうと困るからです。そのため、スポンサー会社は、労働省のガイドラインに沿って募集記事を出し、結果、条件を満たすアメリカ人労働者はいませんでした、とこの申請書上で証明します。その他、賃金に関する書類(Prevailing Wage Application)などのプロセスも含め、申請書提出までに最低7−8ヶ月*程かかります。(*2023年8月現在、会社・職種・時期によっても大分左右されます。)現在はPERMの申請書を提出してから認可されるまで約10ヶ月程かかっています。運悪く労働省の監査(Audit)に引っかかるとさらに3ヶ月かかります。
❷ I-140 Immigrant Visa Petition (移民ビザ申請)
労働省から①の労働証明書の認可(Certified PERM)がおりると、次はアメリカの移民局(USCIS)にI-140申請書(移民ビザ申請書)を提出します。ここでは①の労働証明書に記載された仕事の応募資格に対する、申請者の学歴や実務経験の証明書類や、会社の財政能力の証明書類などを提出します。2023年夏現在は申請時間は約4,5ヶ月ですが、ラッシュ申請の場合は2,3週間で結果が出ます。
❸ I-485 Adjustment of Status Applications (非移民ビザ⇒永住者のステータス変更)
最後にH-1BやL-1ビザなどの非移民ビザから永住者になるためのI-485申請をします。ここで初めて個人の細かい経歴調査がされます。家族の情報、両親の情報、過去数年の住所や仕事の情報、などを申請書に記入し、本人・家族の出生証明書(戸籍謄本)のコピー、パスポート(全てのページ)コピーなど様々な書類を提出します。又I-485を提出してから認可されるまでの期間に労働許可と再入国許可がもらえる、I-765 Employment Authorization、I-131 Advance Parole も付随して提出します。通常1ヶ月ほどで指紋採取の通知が届き、指定された日時に近くの移民局に出向き、指紋採取を行います。そして全ての審査が終了後グリーンカードが届きます。I-485の申請時間は場所や人によって大分変わりますが大体1−2年かかります。
場合によっては②と③の同時申請が可能です。こちらは移民ビザの種類(EB-2、EB-3など)や出生国によって変わります。日本生まれの場合は同時進行が可能なことが多いです。
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10年近くかけて永住権を手に入れるインド人なども多く、日本人は約2-3年で取れてしまうのでありがたいですね。
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